役員の責任追及等の訴え(株主側からのメリット)

気がつけば20日経っておりますが・・・
まだ日中は暑いですが、日が落ちるのは早くなったので徐々に過ごしやすくなることを期待しています。
さて、現在我々が行っている勉強会は、今のところ各人が興味を持った事項について発表をしており、特に体系立てて行っているわけではありません。
ということで、まずは先日私が発表した内容を少しお話させて頂きます。

「責任追及等の訴え」です。
株主代表訴訟といったほうがわかりやすいでしょうか。
実は、会社法の条文では株主代表訴訟の表現は使用されていないのですね。
なので、ここでは、会社法の規定に従い「責任追及等の訴え」と表現します。

この責任追及等の訴えは、ダスキンの訴訟で、ビルゲイツ級でしか払えないような巨額の賠償が認められており、役員を務める人間としては身が引き締まる思いです。

さて、株主側から責任追及等の訴えを起こすメリットは以下の2点です。
① 訴訟費用が安い
  会社法847条6項の規定に基づき、財産権上の請求に係る訴えと
 みなされるので、訴額は160万円です。
  たとえ、役員に100億円の損害賠償を行う場合も訴額は160万円
 なのです。
  つまり、裁判所に納める印紙代が安い、というわけです。
  請求が認められても当該役員は会社に支払え、という判決が出るわけ
 で、当該株主に直接利得は発生しない、という考え方に基づく政策的な
 規定のようです。

② 勝訴した場合に会社に対して弁護士費用を請求できる
  会社法852条にこんな規定があります。
  これ、一部勝訴でも請求できるというものです。
  なんで会社から支出するんだ、という話ですが、会社の財産を回復
 させるための費用だから許される、ということになるんでしょうね。

 実は、この責任追及等の訴えに目をつけている弁護士もいるとかいないとか・・・
 今日はこの辺で。
                         松井良太