財務報告にかかる内部統制の評価及び監査に関する実施基準(6つの基本的要素―統制環境)

6つある内部統制の基本的要素の一つが,統制環境です。

統制環境とは,「組織の気風を決定し,組織内の全てのものの統制に対する意識に影響の与えるとともに,他の基本的要素の基礎をなし,リスクの評価と対応,統制活動,情報と伝達,モニタリングおよびITへの対応に影響を及ぼす基盤」のことをいいます。
統制環境は,他の基本的要素の前提となるとともに,他の基本的要素に影響を与える最も重要な基本的要素です。

統制環境に含まれる一般的事項としては,①誠実性および倫理観,②経営者の意向および姿勢,③経営方針および経営戦略,④取締役会および監査役または監査委員会の有する機能,⑤組織構造および慣行,⑥権限および職責,⑦人的資源に対する方針と管理があげられます(企業会計審議会「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告にかかる内部統制の評価及び監査に係る実施基準の設定について(意見書)」平成19年2月15日)。
これらの一般的事項の中でも特に,①の誠実性および倫理観が重要であると考えられます。なぜなら,内部統制の有効性は,それを設定する経営者の誠実性と倫理観の水準を超えることはできないからです。たとえば,経営者が利益の追求だけを求めて非現実的な業績目標のノルマを社員に求めると,不正につながるおそれが出てきます。このように,経営者の倫理観が内部統制の最も重要な基盤となっています。